風邪とお茶(タイトル)

読売新聞98/12/24 こちら医療情報室 より

インフルエンザの季節がやってきた。人込みを避け、手洗いやうがい、
十分な休養と栄養−が予防の基本だが、島村忠勝・昭和大教授(細菌学)
は、お茶の渋み成分であるカテキンの働きに注目した予防法を提唱している。

インフルエンザウイルスは、鼻やのどなどの粘膜細胞に付着し、細胞内で
増殖することで感染する。この時、ウイルスは表面にある突起(スパイク)
部分で細胞とくっつくが、カテキンはスパイクに覆いかぶさり、ウイルスと
細胞の結合を妨げる作用がある。

「ウイルスに対してワクチンの予防接種と同様なメカニズムで働く」と
島村教授は説明する。そのうえインフルエンザウイルスの型が異なると、
効果のないワクチンに対し、カテキンは型に関係なく効くという。

低濃度でも即効カカテキンは、抗酸化作用が注目され赤ワインブームを
呼んだポリフェノールの一種。ウーロン茶や、紅茶、日本茶などにも
含まれているが、特に緑茶は、カテキンの中で最強の殺菌力の
「エビガロカテキンガレート(EGC芭」の割合が最も多い。
 コレラ菌の専門家である島村教授がカテキンの抗菌効果に
注目し出したのは88年。コレラ菌の活発な運動を数秒間で止めて
固めてしまうことを発見してからだ。

家庭で飲む濃度(約2%)を4分の1に薄めたお茶をインフルエンザウイルス
と5秒間混ぜた後に培養細胞上に加える実験を試みたところ、瞬時に
ウイルスの感染力を100%抑えた。「この効果は、実験では、ある種の
抗インフルエンザ剤の100倍に相当する。低濃度で即効力があるのが
カテキンの特長」(島村教授)だ。

動物実験でも実証同様にブタなどの動物実験でも、カテキンを与えたら、
感染の予防効果を証明。人間に対しても、うがいするグループと、しない
グループに分け、折体のでき方を調べたところ、お茶でうがいをした
グループの方が、インフルエンザにかかりにくいとの結果が出た。

お茶どころ静岡県の榛原町立坂部小学校では、89年から子どもたちが
お茶の水筒を持参。体育の後、給食の前、掃除の後など毎日3〜5回
うがいをしている。
インフルエンザが大流行した今年(98年)2月の欠席率は2・9%。
町内の他校の3分の1ほどだった。
山本光江教頭は「お茶だけの効果かどうかは即断できないにしても、
児童の健康には役立っているでしょう」と話す。

島村教授が勧めるうがいの仕方

@ 帰宅時やのどの調子がおかしい時などに心がける。
  (回数は多くなくてもよい)

Aぬるま湯ぐらいにやけどしない程度に冷ましたもので、のどの奥まで
 ガラガラする(通常より二、三倍程度にうすめた濃さでも効果がある)

B 出がらしは使わない。カテキンが多く溶け出している一、二杯目まで
 のものにする。

Cうがいだけでなく、緑茶を飲む習慣を付けることで、粘膜に潤いを与え、
 抵抗力を強める。

D感染してしまった後でも、緑茶うがいは、症状の悪化や周囲への
 感染防止効果もある。

コレラ患者に投与
カテキンの効能はインフルエンザだけではない。前代未聞の集団
食中毒騒ぎを起こした病原性大腸菌0157や、院内感染の原因菌で
知られるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の殺菌効果も
確認されている。

「抗生物質に匹敵する優れもの」として実際、発展途上国では
コレラ感染者にお茶を投与する方法が実施されている。
また薬剤のような耐性ができないことから、MRSAに効かなくなった
抗生物質と併用することで、薬効が復活するといった実験結果もあり、
臨床への応用が期待されている。

古来、お茶は薬だったことを考えると、効能もうなずける。生活の知恵
としてきょうからでも、副作用の心配もない″緑茶療法″を加えてみては
いかが。

         田村 良彦